司法面接の質問の仕方と、子どもの発言の信用性
親子交流(面会交流)の事件で、別居親による子どもへの性的な行為が疑われ、その根拠として、子どもへの司法面接での発言が示されることがあります。名古屋家庭裁判所の平成28年8月31日の審判は、そうした事案で、面接の質問の仕方を検討し、子どもの発言の信用性を慎重に判断しました。
事案の概要
別居親が子どもとの面会交流を求めたのに対し、同居親は、別居親が子どもに性的な行為をした疑いがあるとして反対しました。根拠の一つは、子どもが受けた司法面接での発言でした。
裁判所が指摘した点
- 幼児や児童は、一般に記憶が不正確になりやすく、他者から得た情報を自分の体験のように思い込んでしまう被暗示性や、大人に合わせる迎合性が強いため、その発言の信用性は慎重に検討する必要がある。
- 面接の時点で子どもは4歳と幼く、問題とされた出来事からは1年8か月がたっていた。
- 面接者は、子どもが自分から話す前に、体の部位を示す言葉を使って質問していた。こうした質問の後に出た発言を、そのまま子どもの体験として扱うことはできない。
- 回数についての発言も、質問の仕方によって変わっていた。
裁判所は、性的虐待の存在を裏付ける具体的な根拠は認められないとして、面会交流を認めました。
心理学から見た意味
子どもへの聴き取りの研究では、答えを含んだ質問や、選択肢を示す質問を重ねると、子どもが実際には体験していないことを話しうることが繰り返し示されてきました。司法面接は、こうした影響を避けるために、子ども自身の言葉で自由に話してもらうことを基本としています。この審判は、司法面接という名前で行われた面接であっても、実際の質問の仕方を一つひとつ確かめる必要があることを示しています。
意見書で検討すること
- 面接の録画や反訳から、質問の文言と、直後の子どもの答えを対応させて整理する
- 問題となる言葉を、子どもより先に大人が口にしていなかったかを確かめる
- 面接の前に、子どもが同じ話題で何度も尋ねられていなかったかを確かめる
こうした検討は、子どもの発言を否定するためのものではありません。虐待の有無は慎重に判断されるべきであり、どちらの立場からのご依頼でも、同じ基準で検討します。子どもを責めたり、発言を「うそ」と決めつけたりすることはしません。
出典:名古屋家庭裁判所 平成28年8月31日審判(平成27年(家)第1913号・第1914号 面会交流申立事件)
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