意iプロデュース心理学的意見書 公認心理師・臨床心理士 石垣秀之 English相談・見積り

家裁調査報告書の心理学的検討チェックリスト

家庭裁判所調査官の調査報告書を受け取ったときに、調査の範囲、親子の観察、子との面接の条件、質問の形、分析の過程を確かめるための22項目です。最高裁判所家庭局が法制審議会で説明した調査の方法と、子どもの面接に関する心理学の研究、心理専門職の指針をもとにまとめました。

印刷用(PDF・A4)をダウンロード

事務所内での共有や、研修資料への引用はご自由にどうぞ。引用するときは、出典(ikensho.com)をお示しください。この画面のチェックは保存されません。

使う前に

  1. 「記載の有無」を確かめる表です。報告書に書かれていないことは、行われなかったことの証明にはなりません。指摘するときは「〜を確認した記載はありません」と書くのが確実です。一方で、裁判官は調査官とは別の立場で、調査の経緯・方法・内容を吟味するものと説明されています。記載のない手続は、その吟味の材料になりません。
  2. 調査命令の範囲の中で使ってください。範囲の外の事項が報告書にないことは、問題になりません。
  3. 基準への「違反」を探す表ではありません。最高裁家庭局の説明は、2021年に法制審議会で実務の状況を述べたもので、拘束力のある基準ではありません。APA・AFCCの指針も、日本の調査官に向けたものではありません。どちらも、確かめるための物差しとして挙げています。
  4. 依頼者側に有利な記載にも、同じ基準を当ててください。一方の側だけに当てはめた指摘は、かえって書面全体の信用を損ないます。
  5. 年齢の区分は、法的な基準ではありません。6〜9歳、10〜12歳の区分は、留意点の研究の紹介として説明されたものです。意向と心情を年齢で分ける基準として使わないでください。

A 調査の範囲と情報源

B 親子の観察

C 子との面接の条件

D 質問の形と子の発言

E 分析と結論

最高裁家庭局は、同居親の影響の兆候として、子どもらしくない言い方、同居親と同じような言い方、思い出せるはずのない時期の出来事を拒否の理由にしていることを挙げ、別居親の影響の兆候として、会いたいと言いながら恐怖心が見て取れることを挙げています。

発言の信用性を、これだけで判断しないでください

次の手がかりは、研究で支持されていないか、逆の結果が出ています。発言の内容から真偽を見分ける方法はありません。確かめられるのは、上のDのような、発言が生まれた条件(質問の形、最初に現れた時期、情報源)です。

「本当に」「絶対」などの強調語が多いこと言葉の手がかりで嘘を見分ける効果は小さく、確信を表す語と虚偽には有意な関連がありませんでした(Hauch et al. 2015)。
細部が豊かか乏しいか、感情が伴っているか暗示的な面接を重ねた後の誤った語りは、本当の語りより自発的な細部が多かったとする研究があります(Bruck, Ceci & Hembrooke 2002)。
視線、沈黙、答えるまでの時間人が嘘を見抜く正答率は、平均54%にとどまります(Bond & DePaulo 2006)。
専門家が見て「自然な語り」に思えること誘導で生じた幼児の誤った報告と正確な報告を、研究者・臨床家119名が録画で判定した結果は、偶然と変わらない水準でした(Leichtman & Ceci 1995)。

確認できない項目があったとき

確認できない項目があっても、それだけで報告書の結論が誤っているということにはなりません。どの項目が結論にどの程度関わるかは、事案によって異なります。

結論に関わる項目について心理学的な検討が必要なときは、報告書の検証(資料1点の検討は40,000円から。料金)や、意見書の作成をご相談ください。弁護士の先生方へのご案内 →

出典

  • 法制審議会家族法制部会(2021).第8回会議議事録(令和3年10月19日).法務省.木村幹事(最高裁判所事務総局家庭局)の説明.https://www.moj.go.jp/content/001362525.pdf
  • 家事事件手続規則(平成24年最高裁判所規則第8号)第44条.
  • American Psychological Association. (2013). Specialty guidelines for forensic psychology. American Psychologist, 68(1), 7–19.
  • American Psychological Association. (2022). Guidelines for child custody evaluations in family law proceedings.
  • Association of Family and Conciliation Courts. (2022). Guidelines for parenting plan evaluations in family law cases.
  • 仲真紀子(2001).子どもの面接:法廷における「法律家言葉」の分析.法と心理,1(1),80–92.
  • Lamb, M. E., Orbach, Y., Hershkowitz, I., Esplin, P. W., & Horowitz, D. (2007). A structured forensic interview protocol improves the quality and informativeness of investigative interviews with children. Child Abuse & Neglect, 31, 1201–1231.
  • Poole, D. A., & Lindsay, D. S. (2001). Children's eyewitness reports after exposure to misinformation from parents. Journal of Experimental Psychology: Applied, 7(1), 27–50.
  • Leichtman, M. D., & Ceci, S. J. (1995). The effects of stereotypes and suggestions on preschoolers' reports. Developmental Psychology, 31(4), 568–578.
  • Bruck, M., Ceci, S. J., & Hembrooke, H. (2002). The nature of children's true and false narratives. Developmental Review, 22(3), 520–554.
  • Hauch, V., Blandón-Gitlin, I., Masip, J., & Sporer, S. L. (2015). Are computers effective lie detectors? A meta-analysis of linguistic cues to deception. Personality and Social Psychology Review, 19(4), 307–342.
  • Bond, C. F., Jr., & DePaulo, B. M. (2006). Accuracy of deception judgments. Personality and Social Psychology Review, 10(3), 214–234.

最高裁判所家庭局の説明は、2026年10月31日に法務省掲載の議事録の原文で確認しました。作成:石垣秀之(公認心理師・臨床心理士)、2026年11月。

受任できるかを、まずご確認ください

事件の種類、争点、資料のおおよその量、提出期限をメールでお知らせください。対応の可否と概算費用をお返事します(相談無料)。

メールiproduce(アット)ikensho.com

電話

面談や作業中は電話に出られないことがあります。確実にご連絡いただくには、メールをご利用ください。営業電話はお控えください。

最初のご連絡には、お子さまや関係者の氏名、学校名、住所、事件番号を書かないでください。

問い合わせ文の作成画面へ

相談・見積り