子どもを連れ去られたとき、最初に考えたいこと
ある日、帰宅すると、子どもがいない。そのような状況に置かれた方が、まず何を確認し、何をしてはいけないのかを、心理の面を中心に整理します。「連れ去り」は、相手方の立場からは「避難」や「同居の継続」と主張されることもある言葉です。ここでは、検索などでよく使われる言葉として用います。法律上の判断や手続きは、弁護士にご相談ください。
1.まず確認すること
- 置手紙や連絡の内容。「弁護士に連絡してください」といった内容があれば、弁護士に相談したうえで、別居が準備されていた可能性が高いと考えられます。
- 持ち出された物。預貯金の通帳、現金、重要書類、子どもの保険証や母子健康手帳などが持ち出されていないかを確認します。葛藤の高い関係では、別居の準備が進められていることがあります。
- 子どもの安否。相手方の実家や、共通の知人に、「子どもが無事であることを知りたい」と、穏やかにお願いする方法があります。責める言い方や、居場所を問い詰める言い方は避けてください。
- 子どもの安全が心配なとき。子どもの安全が気になる状況(病気、虐待の心配など)があるときは、ためらわずに警察に相談してください。ただし、別居が準備されていた場合は、事件として扱われないこともあります。
2.してはいけないこと
- 子どもを力づくで連れ戻すこと。違法と評価されるおそれがあり、その後の手続きで不利に扱われることがあります。
- 学校や園で子どもを待ち伏せること、押しかけること。
- 相手方や親族へ、繰り返し連絡すること。
- 子どもに、相手方の悪口を言うこと。
3.弁護士への相談は、早く
子どもと離れた状態が長く続くと、その状態の継続が重視され、手続きで不利になることがあるとされています。一般には、家庭裁判所に、監護者の指定や子の引渡しを求める審判を申し立て、あわせて、審判前の保全処分を申し立てることが多いとされています。保全処分は、緊急性などの要件が必要で、認められるのは容易ではありません。どの手続きを選ぶかは、事情によって異なります。早めに、家事事件に詳しい弁護士に相談してください。
4.記録を残す
- 別居の前に、誰が、どのように子どもの世話をしていたかが分かる資料(写真、母子健康手帳、園や学校の連絡帳、送迎や習い事の記録、LINEのやり取りなど)
- 別居後の、子どもや相手方とのやり取り(日時と内容)
子どもとの関わりの記録は、のちに、心理学的な検討の資料にもなります。
5.心理学の立場から
突然、生活環境が変わった子どもは、不安定になりやすいとされます。親が拒否の言動を示す子どもについて、体験にもとづく拒否か、同居親の影響が疑われる拒否かを検討する場面があります(片親疎外と虐待で、子どもの反応はどう違うか)。
意見書で検討できること:別居前後の子どもの様子、子どもの発言が形成された経過(司法面接の質問の仕方と、子どもの発言の信用性)、調査官報告書の評価(調査報告書を心理学的に検討する5つの視点)
意見書で言えないこと:連れ去りが違法かどうかの判断、手続きの結論の保証、面接をしていない相手方の人格や養育能力の断定
6.連れて別居した側の方も
DVや虐待などから避難するために、子どもを連れて別居した方もいます(DVを理由に別居した方からのご依頼について)。連れて別居した側の場合も、生活環境の変化が小さいこと、これまでの養育の実績、面会交流への姿勢、子どもの年齢と意思などが、検討の対象になるとされています。どちらの立場の方からも、弁護士を通じたご相談を受け付けています。
7.ご自身の心を守る
突然、子どもと会えなくなった方は、強いストレス反応が出やすい状態にあります。お子さんと会えない親のこころの健康も、ご覧ください。
参考にした資料
上の資料は、各法律事務所の一般的な解説です。個別の事案には、当てはまらないことがあります。
よくあるご質問
子どもを連れ去られました。心理学的意見書は役に立ちますか。
手続きの中で、別居前後の子どもの様子、子どもの発言の形成過程、調査官報告書の評価などを心理学の立場から検討する場面で役立つことがあります。ただし、意見書は連れ去りが違法かどうかを判断するものではなく、結論を保証するものでもありません。まず弁護士に相談してください。
子どもを連れ去られた直後に、してはいけないことは何ですか。
力づくで子どもを取り戻すこと、学校や園で待ち伏せること、相手方や親族へ繰り返し連絡することは、避けてください。事情の評価で不利に扱われるおそれがあります。子どもの安否の確認は、相手方の実家や共通の知人などを通じて、穏やかに依頼する方法があります。
子どもの連れ去りは、警察に届ければ動いてもらえますか。
別居に伴う連れ出しが、事件として扱われるかどうかは、事案によって異なります。計画的に準備された別居の場合は、警察が動かないこともあります。子どもの安全が心配なときは、ためらわず警察に相談してください。
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